川浪いずみ「本とせいかつ」#7

川浪いずみといいます。百合漫画や食べ物漫画を描くのが好きです。

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杉江の読書 青山文平『春山入り』(新潮文庫)

杉江の読書 青山文平『春山入り』(新潮文庫)

 青山文平『春山入り』を読み終えたところである。ただ不明を恥じるばかりで、改題前の単行本『約定』が出た2014年の時点で読み、書評すべきであった。 本書に収録された「半席」は徒目付として人物評定の仕事に励む片岡直人を主人公とする一篇だ。彼は上司から頼まれ、矢野作左衛門という御家人の死について調査する。その結果、作左衛門の死に関わった人物の動機が炙りださ...

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杉江松恋不善閑居 「俺たちゃ昭和のサムライなのさ(海援隊)」

杉江松恋不善閑居 「俺たちゃ昭和のサムライなのさ(海援隊)」

友人に珍々亭無人君という人物がいる。もちろん本名ではなく、「ちんちんていむじん」と読む。いや本当はジャーナリスト・条野採菊の戯作者としての筆名・山々亭有人をもじったので「ちんちんていなしんど」が正しい読みなのだが、われわれはむじんと読んでいる。らららむじんくん、はサラ金のコマーシャルである。 珍々亭無人と会うことを「サロンをする」と言う。サロンといって...

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bookaholicラジオショー 角田光代さん出演回の映像公開です

bookaholicラジオショー 角田光代さん出演回の映像公開です

杉江松恋認定2016年度最優秀ミステリー長篇であるところの『坂の途中の家』、第70回日本推理作家協会賞は残念ながら逃しましたが、この作品が一推しの「ミステリー」であったという信念は依然として変わりません。もちろん受賞作となった宇佐美まこと『愚者の毒』もたいへん良い作品なのですが(ちなみに杉江が解説を書いております)。 bookaholicラジオ...

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初公開、これが『ある日うっかりPTA』連載の持ち込み企画書だ&レポTVに出ました

初公開、これが『ある日うっかりPTA』連載の持ち込み企画書だ&レポTVに出ました

北尾トロさんが突如ノンフィクション専門誌「レポ」の創刊を宣言されたのは2010年のことだった。第1号が出たころにネット上でトロさんは、「レポ」は連載希望のライターを受け付けるんだということを宣言された。それを見て、よし、それならやってやろうと書いたのが以下に貼り付けた企画書案である。当時は西荻窪にあったトロさんの事務所まで、こ...

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杉江の読書 周防柳『蘇我の娘の古事記』(角川春樹事務所)

杉江の読書 周防柳『蘇我の娘の古事記』(角川春樹事務所)

 物語は乙巳の変に始まる。いわゆる大化の改新である。その事件の結果、中級役人の船恵尺は、誰にも言えない秘密を抱えることになった。彼にはすでに二人の息子がいたが、新たにコダマという娘が家族に加わった。しかし彼女は恵尺の実子ではなく、乳人として蘇我入鹿から引き受けた子供だったのである。この秘密が物語の重要な鍵となる。 周防柳『蘇我の娘の古事記』は天智から天...

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杉江の読書 カベルナリア吉田『旅する駅前、それも東京で!?』(彩流社)

杉江の読書 カベルナリア吉田『旅する駅前、それも東京で!?』(彩流社)

 どこの町にも誰かがすんでいて、その人たちの暮らしがある。 交通機関や情報網が未発達だった過去はいざ知らず、現代に紀行文を書くことの意味はそこにあると思っている。土地柄や風物を通して見えてくる人々の暮らしに読者は関心を持つのだ。カベルナリア吉田『旅する駅前、それも東京で⁉』(彩流社)は、おもしろい方向からその興味を満足させてくれる一冊だった。 著...

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杉江の読書 『ムーミン谷の十一月』(講談社青い鳥文庫)

杉江の読書 『ムーミン谷の十一月』(講談社青い鳥文庫)

 トーヴェ・ヤンソンは物語の枠から登場人物を解放し、同時に読者をもそこから自由にしてみせた。しかしそれは訣別を意味しているのではない。虚構と現実の間に距離を設けることによって、読者は物語と自分の関係を見直すことができる。そして、いつでも任意の時にそこに戻っていくことができるのだ。客体化された物語は、懐かしい心の故郷になる。 シリーズ最終作『ムーミン谷の...

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杉江の読書 『ムーミンパパ海へ行く』(講談社青い鳥文庫)

杉江の読書 『ムーミンパパ海へ行く』(講談社青い鳥文庫)

 抑えきれない冒険心を持つムーミンパパは、ついにムーミン谷を捨てて孤島暮らしをすることを決意する。そこを地上の楽園としようとした彼の思惑と裏腹に自然環境は厳しく、一家の生活は次第に停滞し始める。気ままなミイだけではなく、ムーミントロールも家を離れて自活することを宣言、ムーミンママは屋内に懐かしいムーミン谷の絵を描いてそこにいるという夢想に耽る。一家の心はばら...

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杉江の読書 『ムーミンパパの思い出』(講談社青い鳥文庫)

杉江の読書 『ムーミンパパの思い出』(講談社青い鳥文庫)

 ピカレスク・ロマンとはたとえば、孤児院を脱走した子供が成長して自分の家を持つようになるまでを書いた小説のことだ。トーヴェ・ヤンソンにもそういう長篇がある。『ムーミンパパの思い出』である。この作品の刊行は1968年だが、原型は1950年に発表された。したがって執筆順としては四作目に当たるが、改稿を経て現在の形になったものは八作目に数えられる。捨て子だったムー...

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