現在仕事 一覧

杉江の読書 リング・ラードナー『アリバイ・アイク』(加島祥造訳/新潮文庫)

――わしという人間は喋りはじめたら止らんから困る、とかあさんは言うんだがね。  こんな書き出しで「金婚旅行」という短篇は始まる。題名が示すとおり、記念年の旅行に出かけた夫婦が見聞した出来事を、猛烈な勢いで話し続ける老人の一人称で綴った一篇だ。リング・ラードナー傑作選である『アリバイ・アイク』の収録作だが、「止めどないおしゃべり」ほどこの作者の資質を的確...

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杉江の読書・『イーヴリン・ウォー傑作短篇集』(高儀進訳/白水社)

杉江の読書・『イーヴリン・ウォー傑作短篇集』(高儀進訳/白水社)

 イーヴリン・ウォーの短篇で最初に読んだのは「ミステリマガジン」に訳載されたTactical Exerciseではないかと思う。第二次世界大戦によって人生を狂わされた男の話で、戦前に持っていたすべてのものを失ったジョンは、次第に妻・エリザベスへの憎悪を募らせていく。夫と妻の犯罪を描いた作品は他にいくらでもあるが、この小説を唯一無二のものにしているのはその特殊...

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杉江の読書・ディーノ・ブッツァーティ『古森の秘密』(長野徹訳/東宣出版)

杉江の読書・ディーノ・ブッツァーティ『古森の秘密』(長野徹訳/東宣出版)

イタリア史において1925年は、ベニート・ムッソリニーニが国家統領に就任した年として記憶される。ディーノ・ブッツァーティはそのイタリアで生まれて1927年に作家デビュー、1935年に初期の代表作『古森の秘密』(長野徹訳/東宣出版)を発表した。物語はムッソリーニの独裁が完成した1925年の春に始まる。退役軍人セバスティアーノ・プローコロ大佐が、叔父アントニーオ...

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杉江の読書・ペーター・シュタム『誰もいないホテルで』(松永美穂訳/新潮クレストブックス)

杉江の読書・ペーター・シュタム『誰もいないホテルで』(松永美穂訳/新潮クレストブックス)

 スイスの作家ペーター・シュタムの短篇集『誰もいないホテルで』(松永美穂訳/新潮クレストブックス)には10篇が収められている。表題作は、仕事のためにホテルに籠ろうとした〈ぼく〉の奇妙な体験を描くものだ。さんざん山道を彷徨ったあげくにたどり着いたホテルで彼を出迎えたのは、客を待たせたまま食べかけのラビオリをむしゃむしゃと平らげる女性・アナだった。部屋のシャワー...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA5

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA5

8月18日。台湾五日目、帰国予定日である。といっても飛行機が飛ぶのは21時近くだから、まるまる一日空いている。LCCを利用したので、羽田空港発着でお安い代わりに便が全部遅い時間なのだ。 この日は妻と相談して、別行動にさせてもらった。台北市内には日本の秋葉原よろしくアニメや漫画関連のグッズを売っているショップが密集している地域がある。数年前に来た...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA4

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA4

台湾滞在も四日目に入った。8月17日である。 妻は見逃した場所もあるとかで北投散策に出かけていったが、私と子供は惰眠をむさぼる。昼近くにチェックアウトできるホテルなのである。大浴場もあり、貸し切り状態だったのでゆっくりつかったあとで、敷きっぱなしの布団でゆっくり眠った。温泉旅館に来たら、せかせかせずに休養しなくちゃね。 ホテルを出てMRT...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA3

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA3

台湾滞在三日目の8月16日である。 台南を離れ高速鉄道で北上する。台北駅までは1時間40分、そこからMRTの淡水信義線で約20分、北投駅で降りて新北投線に乗り換え、6分ほどで終点の新北投駅に着く。 北投は清朝末期にドイツ人によって有望な源泉ありと見出され、その後の日本統治期間に保養地として開発された観光地である。地熱谷という源泉か...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA2

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA2

明けて8月15日、台湾滞在の二日目である。まだ台南市にいて、同じホテルに滞在中なのだ。朝食は10分ほど歩いたところにある店で。昨日も食べたサバヒーという魚を載せた粥が名物で、大豆から作ったと思しき辛い調味料を入れると非常においしい。朝から何杯でもおかわりできそうな粥だ。 昼から近くの安平という町を訪ねようということになっていた。台湾は17世紀か...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA.1

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールEXTRA.1

こんばんは、杉江松恋です。 bookaholicは一年近く前から相談をして、準備を進めていたのだけど、偶然に偶然が重なって、結局今日の試験公開ということになりました。準備期間も長かったことだし、焦らずにいろいろ更新していきますので、どうぞ気長におつきあいください。 さて、街てくてくだ。 前回の続きで東海道歩きのことを書きたいのだが、...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールVOL0

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビールVOL0

きっかけは、栄養士さんの一言だったのである。 私には糖尿病という持病があり、これは完治することがないが、小康状態を保てば決して長命も夢ではない、という患者の自戒を必要とするたぐいの病気だ。

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