杉江松恋 一覧

芸人本書く列伝classic vol.7 有吉弘行『お前なんかもう死んでいる』

ふと思い立って有吉弘行の著書を買って読んでみた。 なぜ有吉の本を読もうと思ったのかは忘れてしまった。何かの番組で見かけて関心を持ったとか、たぶんそういうことだったと思う。きっかけは大事ではない。 2010年に単行本で出た『お前なんかもう死んでいる』が昨年春に双葉文庫に入っていることがわかったので、さっそくそこから読んでみた。 びっく...

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芸人本書く列伝classic vo.6 立川談四楼『談志が死んだ』

芸人本書く列伝classic vo.6 立川談四楼『談志が死んだ』

「とんでもねえこと書きやがって、てめえなんざクビだ失せろとっとと出てけこの大バカヤロー」 突然の罵声である。その日、立川談四楼の自宅の電話に、こんな一方的な留守録が入った。たまたま別の階にいて受話器を取れなかった談四楼は慌てて折り返しの電話を入れる。怒声の主が、師である立川談志だったからだ。 おそるおそる話しかけてみると、たちまち相手の声は怒りの...

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芸人本書く列伝classic vol.5 水道橋博士『藝人春秋』

芸人本書く列伝classic vol.5 水道橋博士『藝人春秋』

下記の文章は「水道橋博士のメルマ旬報」に掲載されたものだが、初出はエキサイトレビューである。公開した後で博士と話す機会があり、あれをぜひメルマ旬報に、という要請があったので再掲することになった。ただし、そのまま載せるだけでは原稿料の二度取りみたいであまりにも芸がない。そこで、エキサイトレビューへの発表時には内容に一般性がないと考えてあえて書かなかったことを追...

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芸人本書く列伝classic vol.4 立川志らく『談志のことば』『談志・志らくの架空対談』『DNA対談 談志の基準』

芸人本書く列伝classic vol.4 立川志らく『談志のことば』『談志・志らくの架空対談』『DNA対談 談志の基準』

すごいぞ、立川志らくの狂気がどんどん進行しているぞ! 会ったこともない人をつかまえて失礼千万なことを言っているわけだが、でもすごいのである、志らく。ちょっと目が離せないことになっている。 立川志らくが落語立川流家元・立川談志に入門したのは1985年のことである。当時は日本大学芸術学部に在籍し、落語研究会で活動してい...

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芸人本書く列伝classic vol.3 吉川潮『談志歳時記 名月のような落語家がいた』

芸人本書く列伝classic vol.3 吉川潮『談志歳時記 名月のような落語家がいた』

かつて『泣き虫』という本があった。 プロレスラー・高田延彦が自身の半生を振り返り、ライター・二宮清純がまとめたものである。当時はまだミスター高橋『流血の魔術 最強の演技』(2001年)に端を発するプロレス暴露本ブームのさなかであったから、2003年にこの本が刊行されたときにもそうしたものの一冊として受け止められた。だが刊行から10年経った今にな...

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芸人本書く列伝classic vol.2 ビートきよし『相方 ビートたけしとの幸福』

芸人本書く列伝classic vol.2 ビートきよし『相方 ビートたけしとの幸福』

私が好きな喜劇人の評伝にポール・ジンマーマン『マルクス兄弟のおかしな世界』(中原弓彦・永井淳訳/晶文社)という本がある。 マルクス兄弟は1930年代から40年代にかけて活動した喜劇映画俳優で、長男チコは無学なイタリア人、次男ハーポは一切言葉を発しない不思議な男、三男グルーチョはでたらめな言動で相手を煙に巻くイカサマ師という役割を演じ、好評を博し...

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芸人本書く列伝classic vol.01 谷川貞治『平謝り』

芸人本書く列伝classic vol.01 谷川貞治『平謝り』

「水道橋博士のメルマ旬報」に寄稿し始めて、もう6年になる。「メルマ旬報」はその名のとおり、ルポルタージュ芸人の水道橋博士が編集長を務めるメールマガジンで、定期刊行されているものではおそらく国内最多の執筆陣、最大の規模を誇る。なにしろ、あまりに多すぎて一号では配信しきれず、「め」「る」「ま」の三組に分かれて月三回配信になっているほどだ(それで本当に旬報になった...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月・福岡別府「徘徊堂」

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月・福岡別府「徘徊堂」

古書徘徊堂には二つの店舗がある。それぞれ最寄り駅が、地下鉄七隈線の六本松と別府(べふ、と読む)である。M君によれば六本松店は巨大で、それこそハヤカワのポケミスなどが足の踏み場もないほどに置いてあって、しかも安いのだという。夢のような話だが、その日は休みであった。別府店は開いているという。M君曰く、六本松店よりはかなり小さくて、どちらかといえば一般文学...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月福岡・平尾「ブックス ビバーク」

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月福岡・平尾「ブックス ビバーク」

「新しく古本屋ができたんですよ」 とM君は言ったのであった。 本々堂で結構な収獲があったので、今日はもうこれでデキた(なつかしの田山幸憲『パチプロ日記』風に)と思っていたところにその一言である。 あと周るべきところは徘徊堂のみ。それも、六本松店と別府店のうち今日は別府店しか開いてないので、という話に続けて出てきた言葉であった。 ...

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街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月福岡・大橋「古書 本々堂」

街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2018年11月福岡・大橋「古書 本々堂」

入江書店を出た私とM君は、西鉄福岡駅から大牟田線に乗った。特急で二つ目の駅、大橋が目指す場所である。 野村宏平『ミステリーファンのための古書店ガイド』にはJR香椎駅前と記載のあるあい書林は最近になってこの大橋に移ってきている。ただし、M君によれば最寄りは大橋駅ではなくて隣の高宮だそうだ。同書によれば「猟書家必見の店」とのことなのだが、残念ながら...

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