杉江の読書 早坂吝『アリス・ザ・ワンダーキラー』(光文社)

表紙を見て、あ、島風、と思ったが違いました。ウサギである。 早坂吝『アリス・ザ・ワンダーキラー』は、第50回メフィスト賞を獲得した『○○○○○○○○殺人事件』(講談社)でデビューを飾って以降、さまざまな奇手によって読者を驚かせてきた作者の最新作だ。題名が示す通り『不思議の国のアリス』がモチーフとして使われている。同作はミステリーとも相性がよく、国産の作...

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書評の・ようなもの 町中華とはなんだ・その4(終)

書評の・ようなもの 町中華とはなんだ・その4(終)

(その1) (その2) (その3) (4) 町中華探検隊が僕の町に来るかどうかは知らない。 だから僕なりに、うちの地元の町中華のことを書いておこうと思う。こういうのが町中華だ、というサンプルのつもりである。お断りしておくが、以下のイニシャルは単純なアルファベット順で、まったく店名とは関係ない。もしかすると同じ地元の方は、あ、うち...

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書評の・ようなもの 町中華とはなんだ・その3

書評の・ようなもの 町中華とはなんだ・その3

(その1) (その2) (3) なぜ町中華探検隊に入れてもらうようにお願いしなかったのか。 もし理由があるとすれば、僕にとって町中華通いが、ごくごく私的な性質のものだったから、というものだろう。 僕が頻繁に町中華に行くのは、一人で飯を食うのに適しているからだ。時分どきを外し、ある程度つまみになるものを頼めば、ちびちびビールをのみ...

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書評の・ようなもの 町中華とはなんだ・その2

書評の・ようなもの 町中華とはなんだ・その2

(その1) (2) 趣味や興味を持ったことを仕事に結びつけるのはライターの特権だ。 トロさんはそれがとても上手くて、裁判の傍聴ライターになったり、ネット古本屋を始めたり、とこれまでもいろいろなことをしてきた。季刊レポもその1つで、雑誌が売れなくなっているということに危機感を持ったトロさんが自分でやってみようとして始めたものである。あの雑誌は...

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書評の・ようなもの 町中華とはなんだ・その1

書評の・ようなもの 町中華とはなんだ・その1

(0)  町中華、と言われて僕が即座に連想するのは、松本零士『男おいどん』の主人公、おいどんこと大山昇太が行きつけとしているほぼ唯一の店、佐渡酒造に似た(というかほぼ同一キャラ)店主がひとりで切り盛りしている中華飯店だ。おいどんはここで忸怩たる思いを飲み込むようにしながらラーメンライスを食うのである。 自分自身の思い出に残る町中華といえば生まれた...

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杉江の読書 アンドレ・ド・ロルド『ロルドの恐怖劇場』(平岡敦訳/ちくま文庫)

杉江の読書 アンドレ・ド・ロルド『ロルドの恐怖劇場』(平岡敦訳/ちくま文庫)

机の上はきちんと整理整頓されている。置かれているのは、劇薬入りのビーカーに、メスや剪刀。しかし、安定が悪い。机の脚がぐらぐらしているのだ。ちょっときっかけを与えるだけで、それらは動き出す。机の前に座るあなたを目がけ、降り注いでくるだろう。 アンドレ・ド・ロルド『ロルドの恐怖劇場』はまさしくそうした小説集である。20世紀初頭のパリでは凄惨と言うしかない恐...

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小説の問題「口で言うほど易しくない」今野敏と笹生陽子

小説の問題「口で言うほど易しくない」今野敏と笹生陽子

今回の「小説の問題」は「問題小説」2005年8月号からの再録である。 前回までお目にかけていた原稿は3作紹介パターンの時代だったが、連載中期のこのころは新作1+文庫化作品1の計2冊を紹介する形だった。10年以上前なので、今から見ると下手すぎて正視できないような回もある。その中から、これならなんとか、というものを選んできた。今野敏はまだ『隠蔽捜査』を書く...

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杉江の読書 松井今朝子『料理通異聞』(幻冬舎)

杉江の読書 松井今朝子『料理通異聞』(幻冬舎)

 五感のすべてが、おいしい、おいしい、と喜んでいる。 松井今朝子『料理通異聞』を読んだからだ。ふうん、料理の時代小説ね、と軽い気持ちで手に取ったら止まらなくなって一気に読了してしまったのである。 物語は天明2(1872)年に始まる。主人公の善四郎は浅草新鳥越町に暖簾を出している、福田屋という料理屋の長男だ。福田屋の前身は八百屋で、今でも精進料理を...

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杉江の読書 今柊二『餃子バンザイ!』(本の雑誌社)

杉江の読書 今柊二『餃子バンザイ!』(本の雑誌社)

 餃子食いには二種類いる。違いは、餃子をおかずとしてご飯を食べるか否かである。定食評論家の今柊二は、実家が「ご飯食べない派」だったため長らく餃子をおかずにすることができなかったそうだ。実家の慣例が後の習慣に影響を与えるのも餃子という食べ物の特徴だろう。私も家で餃子を包んで食べた体験があまりに幸せだったため、今でもその大きさのものを好む。一口サイズや、ジャンボ...

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杉江の読書 木下昌輝『戦国24時 さいごの刻』(光文社)

杉江の読書 木下昌輝『戦国24時 さいごの刻』(光文社)

 主人公の最期をクライマックスに据えると予告し、溯ってそこに至る筋道を綴る。 サスペンス小説としてはそれほど珍しくないが、それを時代小説の連作短編で行ったという点に新味がある。木下昌輝『戦国24時 さいごの刻』はそうした作品だ。 収録作は六篇、巻頭の「お拾い様」で死へのカウントダウンを数えられるのは、豊臣秀吉の遺児・秀頼である。二回にわたる徳川勢...

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