小説の問題「口で言うほど易しくない」今野敏と笹生陽子

今回の「小説の問題」は「問題小説」2005年8月号からの再録である。 前回までお目にかけていた原稿は3作紹介パターンの時代だったが、連載中期のこのころは新作1+文庫化作品1の計2冊を紹介する形だった。10年以上前なので、今から見ると下手すぎて正視できないような回もある。その中から、これならなんとか、というものを選んできた。今野敏はまだ『隠蔽捜査』を書く...

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杉江の読書 松井今朝子『料理通異聞』(幻冬舎)

杉江の読書 松井今朝子『料理通異聞』(幻冬舎)

 五感のすべてが、おいしい、おいしい、と喜んでいる。 松井今朝子『料理通異聞』を読んだからだ。ふうん、料理の時代小説ね、と軽い気持ちで手に取ったら止まらなくなって一気に読了してしまったのである。 物語は天明2(1872)年に始まる。主人公の善四郎は浅草新鳥越町に暖簾を出している、福田屋という料理屋の長男だ。福田屋の前身は八百屋で、今でも精進料理を...

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杉江の読書 今柊二『餃子バンザイ!』(本の雑誌社)

杉江の読書 今柊二『餃子バンザイ!』(本の雑誌社)

 餃子食いには二種類いる。違いは、餃子をおかずとしてご飯を食べるか否かである。定食評論家の今柊二は、実家が「ご飯食べない派」だったため長らく餃子をおかずにすることができなかったそうだ。実家の慣例が後の習慣に影響を与えるのも餃子という食べ物の特徴だろう。私も家で餃子を包んで食べた体験があまりに幸せだったため、今でもその大きさのものを好む。一口サイズや、ジャンボ...

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杉江の読書 木下昌輝『戦国24時 さいごの刻』(光文社)

杉江の読書 木下昌輝『戦国24時 さいごの刻』(光文社)

 主人公の最期をクライマックスに据えると予告し、溯ってそこに至る筋道を綴る。 サスペンス小説としてはそれほど珍しくないが、それを時代小説の連作短編で行ったという点に新味がある。木下昌輝『戦国24時 さいごの刻』はそうした作品だ。 収録作は六篇、巻頭の「お拾い様」で死へのカウントダウンを数えられるのは、豊臣秀吉の遺児・秀頼である。二回にわたる徳川勢...

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杉江の読書 天龍源一郎『完本・天龍源一郎 LIVE FOR TODAY いまを生きる』(竹書房)

杉江の読書 天龍源一郎『完本・天龍源一郎 LIVE FOR TODAY いまを生きる』(竹書房)

誰が呼んだか「北向き天龍」。  大相撲で前頭筆頭まで昇り詰めたのちプロレス界に転じ、馬場・全日本での三冠ヘビー級王座戴冠をはじめとする数々の輝かしい戦績を残した、天龍源一郎が奉られた仇名だ。「北向き」とはへそ曲り、変わった性格のことを言う隠語である。 このたび刊行された自伝『完本・天龍源一郎』を読んで、北向きゆえの魅力に改めて気づかされた。斜に構...

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杉江の読書 玉袋筋太郎+プロレス伝説継承委員会『抱腹絶倒プロレス取調室』(毎日新聞出版)

杉江の読書 玉袋筋太郎+プロレス伝説継承委員会『抱腹絶倒プロレス取調室』(毎日新聞出版)

藤原(喜明) あのね、これはハッキリ言っとくけど、俺のほうから「俺はアイツの師匠だ」と言うことはないから。俺は教えたつもりでも、教えられたほうがそう思ってなかったら師弟じゃないんだよ。師匠と弟子というのは、弟子のほうが決めるものなんだよ。  藤原喜明が師・アントニオ猪木を語り、グレート小鹿が馬場の「兵隊」時代を振り返り、将軍KYワカマツが国際プロレスの...

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BIRIBIRI寄席通信 「コイツDeショーYo! #2」瀧川鯉津・春風亭昇羊ふたり会20160908

BIRIBIRI寄席通信 「コイツDeショーYo! #2」瀧川鯉津・春風亭昇羊ふたり会20160908

 瀧川鯉津さんを初めて聴いたのはいつだったかまったく覚えていないのだが、ぱっと見て、武藤敬司に似ているよな、と思った記憶がある。その後で『東西落語家名鑑』を調べたら、出囃子が「グレート・ムタのテーマ」であることを知って笑ってしまった。寄席では本当にあの曲を三味線で弾いてもらって上がるのである。 「コイツDEショーYo!」はその瀧川鯉津さんが落語芸術協会...

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小説の問題「そこにいてもいいの、とあなたは聞く」辻村深月と長嶋有と伊集院静

小説の問題「そこにいてもいいの、とあなたは聞く」辻村深月と長嶋有と伊集院静

「問題小説」の書評欄はBOOKSTAGEという名称だった。 最初は1ページで新刊1冊の書評、そのあと新刊+文庫か新書の旧刊を1冊ずつで複数ページという形になった。やがて新刊の数が2冊になって、最終的には計3冊で4ページという形式に落ち着いた。 複数冊を同時に書評するのは、個人的にはとても難しく感じる。共通テーマを見いだそうとするあまりに、書評に本...

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杉江の読書 法月綸太郎『挑戦者たち』(新潮社)

杉江の読書 法月綸太郎『挑戦者たち』(新潮社)

――古典的な探偵小説に見られる「読者への挑戦」が、作中でいかなるポジションを占めるかによっては長年論争が続いている。[……]  法月綸太郎『挑戦者たち』の「46 分類マニア」はこのような書き出しで始まる。それ以下の文章では「挑戦状」が含まれるのは問題編か解決編かという4つの学説が提示されるのだ。そうした議論がどこかで実際に行われている可能性はあるが、記...

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小説の問題「幸せな読書のために」平松洋子と荻原魚雷とダニエル・ウッドレル

小説の問題「幸せな読書のために」平松洋子と荻原魚雷とダニエル・ウッドレル

 昨日に引き続き「問題小説」の旧稿をご紹介したい。2011年12月号、この号で最終回である。  タイトルは今とっさにつけた仮のものだ。雑誌の切り抜きを探したのだが、この号だけ見当たらなかったからである。原稿を読み直し、そういうことを思いながら書いたのだろうと推測してつけてみた。たぶん、だいたい合ってる。 =====================...

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