杉江の読書 玉袋筋太郎+プロレス伝説継承委員会『抱腹絶倒プロレス取調室』(毎日新聞出版)

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藤原(喜明) あのね、これはハッキリ言っとくけど、俺のほうから「俺はアイツの師匠だ」と言うことはないから。俺は教えたつもりでも、教えられたほうがそう思ってなかったら師弟じゃないんだよ。師匠と弟子というのは、弟子のほうが決めるものなんだよ。

%e3%83%80%e3%82%a6%e3%83%b3%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%89-6 藤原喜明が師・アントニオ猪木を語り、グレート小鹿が馬場の「兵隊」時代を振り返り、将軍KYワカマツが国際プロレスのために何をしてきたかを明かす。『抱腹絶倒プロレス取調室』は、旧「紙のプロレスRADICAL」から「KAMINOGE」に引き継がれた名物連載「変態座談会」の中から、昭和のレスラーがゲストとして登場した回を採録した本だ。聴き手は、玉袋筋太郎と堀江ガンツ、椎名基樹の3人である。

今もってSWS崩壊の真相が曖昧模糊としているように、プロレスラーの証言に真偽の判断を下すのは難しい。常に「自分にとっての真実」があるだけだから、言葉を集めていくと乱反射が始まるためである。本書に登場するレスラー同士の言葉にも一致しない部分があるし、他の本、たとえば現在刊行中の「Gスピリッツ」のミスター・ポーゴ・インタビューと本書のグラン浜田の証言を併読すると、印象がまったく違う。いや、だからこそ彼らの言葉に耳を傾けるのは止められないのだろう。すべてをその人の本音として受け止めて話を聞いていくうちに、脳裏に像が結ばれてくる。それが幻想の昭和プロレス世界だ。

聴き手の側にも芸があり、特にそれが1980年代のサブカルチャーや演芸に接続する個所が私には興味深かった。たとえば以下のようなくだり。激しく首を振ったものである。

玉袋 おもしろかったもんね、ユニバーサル。ロス・ブラソスとかさ。プロレスであんなに腹かかえて笑ったことなかったもん。あれを見習ってダチョウ倶楽部ができたって言っても過言じゃないくらいの。(中略)

ガンツ ダチョウ倶楽部の、ケンカしたあとキスして仲直りとか、まさにブラソスのネタですからね(笑)。

(800字書評)

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