電撃座通信 立川談修独演会「談修UNPLUGGED」20160106

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 新宿五丁目の小さな演芸空間「マイクロシアター電撃座」は昨日、1月6日に2017年の初日を迎えた。当会場にはこれまた初めての出演となる落語立川流真打・立川談修さんの独演会「談修UNPLUGGED」である。年度初、初席、初お目見えということで三拍子揃った目出度い会となる。

談修さんは家元・立川談志の生前、最後に真打昇進を認められた直弟子である。しつこいところのない軽やかな高座で、電撃座のような小さな会場にはもってこいの芸だと思っていたのでお願いしたところ、快諾いただいた次第。「UNPLUGGED」すなわち電気設備を通さない生の声の落語、という題名は談修さんが自らつけられた。小会場だからこその良さ、ということでいい題名だと思う。

本日の番組は以下の通り。

味噌豆 談修

つる 談修

夢の酒 談修

仲入り

佐野山 談修

小さな小さな噺である「味噌豆」から入って次第に奥行きが感じられる大きな噺に移っていくという落語初心者にもわかりやすい構成である。「夢の酒」は冒頭で「年初だけに『天狗裁き』かな」と観客に思わせておいて(「芝浜」という話もあるが)年増と浮気をしかけた夫をなじる若妻、という可愛らしい噺へ。やきもちを焼いた嫁にせがまれて舅がせがれの夢の中に出かけていくことになる、という不思議な内容で、虚構の世界の中に夢というもう一つの虚構が出てくる構成も凝っている。

中入り後は講談名力士伝由来の「佐野山」。事前に、2日後に大相撲初場所の初日ですから相撲噺なんかいかがでしょう、となんとなくご相談していたのを聞き入れてくださった形となった。病気の母のため引退を決意した佐野山のため、自ら八百長を試みる大横綱・谷風の情け相撲が、回向院に押し寄せた観客の目には逆に鬼の所行と映るという、これまた虚実が反転する構図のある噺だ。虚実の合間を泳ぎまくった一夜となった。

「談修UNPLUGGED」、次回は未定だがぜひ継続していただきたい会である。

電撃座、次の公演は1月9日昼席、落語協会の新鋭二ツ目・柳家やなぎさんの登場である。成人の日の昼間、特にご用のない方は北海道出身のやなぎさんらしい、おっとりと懐の深い高座を楽しみにいらしてください。

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