電撃座通信 立川寸志「寸志滑稽噺百席其ノ一」20170203

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立川寸志さんは私の元同業者である。厳密に書けば寸志さんは編集者で、私はライター、同じ業界で飯を食っていたことになる。若いころから落語が好きだった寸志さんは、仕事で落語立川流の立川談四楼さんを担当したことがきっかけでその情熱が再燃してしまい、ついに職を捨てて入門を決意するに至った。現在の落語界では異例の、四十代での入門である。元の職以外にも、年齢が近かったり、出身が三多摩であったりと共通点が多く、気に掛かる存在であった。

二〇一五年に寸志さんはめでたく二ツ目昇進を果たした。二〇一六年に「若いおじさんの会」という「三十三歳以上で入門して現在四十代以上の二ツ目」を対象とした落語会を思いついたのも、寸志さんの存在があったからこそである。

その寸志さんが電撃座を舞台にして「寸志滑稽噺百席」という試みを始めてくださった。題名通り、滑稽噺、笑える噺だけを百席積み上げていこうという企画である。隔月で毎回三~四席をかけていくと、百席が満了するのにだいたい六、七年はかかる計算である。この企画を終えたときには寸志さんは真打の地位を窺える立場になっているはずで、それまでに百題という強い武器が備わっているというわけだ。

記念すべき第一回の番組は以下の通り。

堀の内 寸志

近日息子 寸志

仲入り

蒟蒻問答 寸志

「堀の内」はお祖師様に行ったはずの慌て者が間違えて浅草寺に向かってしまい、高速に二つの寺院の間を往復するという急行落語で、寸志演出では最後の湯屋のくだりがない。「蒟蒻問答」はこれまで敬遠してきたという一席だそうだが、八五郎に権助、若き雲水に蒟蒻屋の親方と四者のキャラクターが際立った良い出来だった。オーソドックスな演出だが、これから売り物にもしていけそうな予感がした。

ちなみにこの会、偶数月の金曜日、毎回午後八時開演である。仕事帰りにゆっくり来ても間に合うという配慮なので、ぜひご遠慮なくお越しいただきたい。次回は四月十四日の開催である。

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