落語会レポート 下北沢に桂文字助降臨。立川談四楼下北沢独演会20170415

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ピンボケ失礼。打ち上げにて文字助・談四楼。

4月15日は万難を排して下北沢に行かなければいけない、と思っていた。

落語立川流(をすでに退会なさっているらしいが)桂文字助がゲスト出演と知らされていたからだ。ご存じの方は多いかと思うが、膝を悪くされていて10年近く高座には上がられていない。「生きて動いている文字助を見られる最後のチャンスかも」と談四楼さんが煽るものだから、もう使命感というか切迫した気持ちは募るばかりである。会場には私と同じようなことを考えた演芸ファンが詰めかけ、びっしりと隙間のない満席となった。端のほうに座っていたらおかみさんが襖を開けて顔を出された。用意していたパンフレットが無くなってしまったのでコピーする、とのこと。喜んでお貸しする。120人以上のお客が入ったそうだ。

文字助さんはひさしぶりの出演で楽しかったのか、開演前から幕前に座りこんでお客さんにサービスしている。しかし出番は仲入り後である。

休憩が終わっていよいよ待望のゲスト出演。膝が悪いことは知っていたので板付での登場となるかと思ったがちゃんと歩いて上がられた。座布団に座ると深々とお辞儀する。「あっしは談志と同じでお辞儀だけはいいんです。芸はひどいんだけど」とまずお客を笑わせた。その後は漫談で客席を手玉にかけていく。「雷電為右衛門伝」に入るかと思わせてまた引く。結局噺はやらずに高座を下りた。

談四楼さんが高座へ。「まんまと逃げられましたね。楽屋では「らくだ」をやるって吹いてたんですよ。もってない噺なのに」とぼやいてみせると、袖からひょっこりと文字助さんが顔を出す。「忘れ物しちゃった」と悪戯である。それを見ながら談四楼さんが「高座への未練ありとみました。また芸人の勘もだいぶ復活しているようです」と再び高座へ引っ張り出すことを宣言する。次は8月5日(土)の上野広小路亭の企画興行とのことである。今回見逃した方は次こそぜひ挑戦ください。

この日の番組は以下のとおり。

小町 笑ん

狸の賽 只四楼

牛ほめ だん子

人情八百屋 談四楼

仲入り

良いかげん 文字助

黄金餅 談四楼

この日の黄金餅が実は非常によかった。死にかけの西念が金を餅にくるんで飲み込んでいくさまを、覗いている金兵衛が「地獄だ」と形容する一言や、焼き場に行って腹だけは生焼けにしろと言いつけ、焼き場の男が「できるかわかんないよ。だってやったことないもん」とぼやく情ない表情。各所にアクセントがあり、スタンダードな演出だがしっかりと演者の個性が出ていた。また聞きたい一席である。

終演後の打ち上げでは、会場の真ん中に菊正宗の一升瓶を抱えた文字助さんが陣取った。次々にお客さんが記念撮影を申し込みに訪れる。何か似ているものを見たことがある、と思ったがシンガポール動物園だった。飼育係が抱えているニシキヘビと一緒に写真を撮れる、というあれである。文字助さん、どうぞお元気で、また高座に上がってください。

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