電撃座通信 「寸志滑稽噺百席 其の三」20170630

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2016年に開催された「若い(入門10年未満)おじさん(33歳以上で入門)の会」を通して思っていたことがあった。落語立川流の立川寸志さんは現役二ツ目では上から二番目というこの会の象徴といってもいい存在なのだが、今のうちに滑稽噺のレパートリーを増やしておけば真打になったころにはすごい武器になるだろうな、ということである。亡くなった十世桂文治の「豆屋」とか五代目柳家小さんの「狸」とか。大ネタで独演会のお客を唸らせるのもすごいけど、15分とか20分ぐらいの軽い滑稽噺で寄席で聴いている人をがんがん笑わせるのはさらに腕がなければできないことだ。そういう落語家になってほしいな、滑稽噺だけでたとえば百席積み上げていく会はどうかな、という意味のことをツイッターで呟いていたら、当の寸志さんが早速食いついてくれた。そして発足したのがこの「寸志滑稽噺百席」なのである。

隔月開催、金曜日の午後8時開演という深い時間帯で3席ずつご機嫌をうかがう。完結までは6年半かかる計算で、そのころには寸志さんも真打の座が狙える存在になっている。それを見越した上の遠大な計画なのだ。

第三回となるこの日の演目は以下の通り。

だくだく

犬の目

青菜

毎回1席はネタ下ろしということになっているのだが、今回は「犬の目」である。眼病を患った男が医者を訪ねることから始まる噺で、医者の名前を「ヘボン先生の弟子でシャボン」などとするのが普通だが「その名を築地改修斎という」「なんだか揉めそうな名前だね」というのに笑った。ちょっとSF的な展開があり私は好きなのだが、演出をねちっこくやると苦手に思う方はいるかもしれない。

「だくだく」は寸志さんの鉄板ネタの一つで、とぼけた味が演者によく合っている。金のない男が新居の壁に家財道具一式を描いてもらい、物持ちになったつもりで暮らそうとする、という噺。おしまいの「青菜」は季節物で、初夏の時分にこの噺を聴くと「ああ、夏になったなあ」と思う。そして変な青菜がその年の初物だと「今年の夏はどんよりしちゃいそうだなあ」と嫌な予感に襲われるのであった。寸志さんの青菜は植木屋と女房の仲が良さげで気持ちのいい一席である。

この会、次回でようやく1/10である。一緒に百席までたどり着きたいお客さんを現在募集中です。次は8月25日(金)20時の予定。

寸志滑稽噺百席の歩み

其の一:2017年2月3日

演目「堀之内」(1)「近日息子」(2)「蒟蒻問答」(3)

其の二:2017年4月14日

演目「壺算」(4)「長屋の花見」(5)「素人浄瑠璃」(6)

其の三:2017年6 月30日

演目「だくだく」(7)「犬の目」(8)「青菜」(9)

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