街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年8月・静岡「文高堂書店」

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ついに入れた文高堂書店。

(承前)

8月某日

水曜文庫と栄豊堂書店古書部の次は、さらに北を目指す。北街道から駿府城公園の外周に沿って北西に歩いていくと、公園を縦断する城北通りに入る、草深橋の交差点がある。昔の三之丸草深門のあった場所で、それを通り過ぎて最初に見た信号で右折し、二本目の角を左折する。そこで道の左側にあるのが文高堂書店だ。

■「定価の半額」の訳は

以前来たときは、店は開いていたのだが人気がなく、奥に向かって呼んでも、どなたも出ていらっしゃらなかった。お休みなのかわからず、他日を期そうということにしたのであった。店頭に均一棚が出ているが、本はない。代わりに「本はすべて定価の半額」という札が置いてあった。これは前回来たときにはなかったような気がする。

前回との違いはもう一つ。店内に電気が点いていたことである。これは入っていいのだろうと判断し、中へ進む。店はごく普通の振り分け型だが、右側の戸からは摘まれた商品があるために入れない。入ると、ちょっと独特の雰囲気の店内であった。

まず全集ものが非常に多い。中央棚には函入りの文学書や学術書が目立ち、全集ものもばらで多く置いてある。壁際の棚は、私の身長でひざくらい上に本が背を向けて置かれている。その下は横積みで本が入れてあるのだが、これはおそらく函入りの何かの全集だろう。一番手前の棚は講談社の手塚治虫全集が並んで壮観である。そこから文学系の本が続き、帳場に近いところにはミステリー系の棚もあった。十分買える品ぞろえで、持っているかどうかわからない、立風書房の『現代アメリカ推理小説傑作選3』をいただくことにした。小鷹信光さんが編者なのだ。

奥に向かって声をかける。年配のご婦人がゆっくり歩いてやってきた。足がお悪いのか、杖を使って下りてこられる。近づいてお金を支払おうかと思ったが、却って迷惑かと思って止めた。本の後ろに手書きで500円とあったので、硬貨を差し出すと、「500円だから、250円ね」と言ってお釣りをくれた。あ、定価の半額というのは値付けの半分という意味だったのか。

「そう。今お店の本は全部半額だから」

ご婦人が言われたので、訳を伺ってみると、値付けをされたのはご夫君だが、病気をされて店がやれない状態なのだという。しばらく営業してない時期があったのもそのためで、今は再開したが、在庫がたくさんあっても仕方ないということで、病気前にご夫君がおっしゃっていたように、値付けの半分ですべて売っておられるのだそうだ。

念のため営業日をお聞きした。今はなるべく開けるようにしているそうだ。

「でもねえ、今は暑いし。午前中はお客さんも来ないから、お昼から開けるようにしているの。よかったら、また来てくださいね」

必ずまた来ます、と約束して店を出る。全部半額、ということはあの手塚治虫全集も半額ということだ。見せてくださいと言い出せなくて確認できなかった店の右側も次は入ってみたい。掘ればまだいろいろ出てきそうなお店である。みなさんもぜひ行ってみてもらいたい。半額セールはしばらくの間続きそうである。

左側の戸が開いていて、電気が点いていればたぶん営業している。また来る。

そこからまたお堀沿いに歩いていき、今度は南西に向かって歩を進める。一つ目の信号を渡ると、静岡東洋英和女学院のある道に出る。それをまっすぐ突き抜けた道が県道354号線、さっきまで歩いていた城北通りと同じである。そこからはひたすらまっすぐ。信号をいくつか越えると、すき家静岡安西店の看板が見えてくる。その向こう側にあるのがブックスランド安西店、のはずなのだが店がない。ガストの左隣にあるはずなのだが、店どころか建物自体がなくて、売地の看板が出ていた。どうやら閉店してしまったようである。静岡はわりと店が生き残っているので、ややがっかりするが、気を取り直して先に進むことにする。静岡駅周辺の古本屋巡りは、ここからが本命なのだ。(つづく)

ブックスランド安西店跡地。

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