街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2019年4月・浜松「百寿堂」「典昭堂」「開陽堂書店」「時代舎古書店」

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松井クリニックの宣伝看板がでかく写っているが、餃子と焼きそばが美味しいかどや前である。浜松で餃子を食べたくなったらかどやへ。天竜川駅前だけど。

4月某日

この日のことを書き忘れていたので、慌てて思い出している。

東海道歩きの天竜川~浜松宿間を歩いたときのことである。浜松は東海道29番目の宿場で、前の見附宿からは天竜川を渡った先にある。その天竜の川風にさんざん吹かれまくったものでめげてしまい、前回は天竜川橋を渡ってすぐギブアップしてしまったのだった。いや、本当にすごい風圧だったんだもの。

仕切り直しのこの日は、浜松で一泊することを前提にしているので余裕がある。なんだったら浜松駅前の古本屋に行ってもいいんだぜ、というくらいの。というか、古本屋に行く前提で天竜川~浜松間の4km程度しか歩かないのだ。これでいいのだ。

天竜川駅を北に出て、東海道にぶつかるところに餃子と焼きそばの名店・かどやがあるので、ここでまずは昼食である。焼きそばは正義だから仕方ない。ちなみに駅の南の飯田町に鈴井書店という古本屋があったらしいのだが、たぶんもうないと思う。

そこから国道152号線沿いに延々と歩くことになる。途中で出現する中古レコード屋のアビーロードには古本は売っていない。一応店内に入って確認したので間違いない。しばらく歩くと江戸から65番目の馬込一里塚があり、その先の馬込川を越えてしまえばほぼ行程は終了である。ここからは古本屋タイム。

古本はありません。

馬込一里塚にて。

街道が遠州鉄道の第一通り駅をかすめて通っているので、そこから電車に乗る。北に二ツ目の八幡はヤマハの工場があってその城下のような駅だ。駅から北へ進み、二つ目の信号を左折する。ヤマハの工場敷地の北側を通るような塩梅で歩いて行き、二俣街道にぶつかったところで左折する。すぐに見えるのが古書百寿堂だ。

店頭にガラスケースがあって、中には茶器などの骨董品と招き猫が置かれている。店主のお母さまが以前煙草屋をやられていて、その名残りらしい。店内は縦の棚で二分された奥に長い振り分け式で、陶芸を主とした美術書や歴史・民俗学の本が目立つ。店主は釣りが趣味とのことで、その関係や、関連する自然科学書も。とりあえずここでは拝見するだけで失礼して外へ。ここから下って遠州鉄道の一つ前、遠州病院駅付近まで戻れば、浜松一の老舗・典昭堂がある。戦前から営業している歴史は伊達ではなく、看板を拝むだけでもありがたい。ここは硬い本は硬く、文庫のような均一棚はあくまで安くとぶらりと入った客にも優しいところが好感の持てる古書店だ。以前来たときは、なぜか店主に辞典の修理の相談をする客が来ていたことを思い出す。それをまた、店主が親切に受けるのである。

1988年版の『全国古本屋地図』には、この典昭堂の南、板屋町に泰光堂書店が記されているのだが、現存しない。大正年間からの老舗とあるので残念だが仕方ない。典昭堂から西に行き、先ほどの二俣街道をまた南下する。姫街道にぶつかったら右折してまた西に進み、連尺の交差点を渡る。ここは浜松城の大手門があったところだ。

そこから道は上り坂になっていくのだが、道の右側に開陽堂書店がある。いや、あったのだが、シャッターが下りていた。古本屋ツアー・イン・ジャパンでは税理士事務所と兼業とあった。たしかにそう書いてある。シャッターの向こうがどうなっているのかはまったく見当がつかない感じで、建物の前にもしかすると均一棚として使われるのかもしれない露台が置かれているのだけが唯一古本屋らしい。だが、そこには雑然と物が積まれており、なぜか前にはボーリングバッグが放置されていた。これだけでは営業しているともしていないとも判別がつかない。判断は保留である。前出の『古本屋地図』を見ると、一般書を扱う店としか書いていないのだが、どこかで商売替えをしたのかもしれない。この近くに昭和堂書店もあったはずなのだが、現存していないことを確認する。

開陽堂書店から北に、浜松開誠館中学・高等学校の左側を回りこんでいくと、時代舎古書店がある。品揃えでいけば浜松駅前の古本屋では最大で、特に郷土史関連の豊富さには驚かされる。地元出身の作家についても本が揃えられており、目の保養になる。関東で言うと、鎌倉の公文堂書店がいちばん似ているのではないだろうか。もちろん文庫棚やコミックなどもたくさんあって、持っていない某推理コミックを発見して悩んだが、予算が折り合わず断念した。いずれまた見つけよう。お店は何事かがあったのか、ファザードの半分がブルーシートで覆われていて、時代舎の舎の字しか今は見えない。店の前に張り出された「あなたも古本のタイムトンネルにようこそ」の文句は嘘ではなく、中にいると時間感覚を失う店である。

時代舎を出て、先ほどの連尺交差点に戻る。二俣街道はそのまま下っていくと旧東海道で、交差点付近には本陣跡などがある。この付近で建物の前に古本ワゴンを出しているところがあったので、新店か、と色めき立って覗いてみたのだが、障碍者支援のためのコミュニティ施設なのだという。まだ新しいのでご近所の方でも知らない向きは多いだろう。よかったら覗いてみてください。たけし文化センターというそうである。

ここからは152号から257号に名前を変えた先ほどの国道を延々と歩く。東海道66番目の若林一里塚を過ぎて、JR高塚駅で今日はおしまい。浜松宿で歩くのを切り上げてもよかったのだが、翌日次の舞阪宿まで行くつもりなので、足に余裕があるうちに距離を稼いでおいたのである。これで明日もちょっと古本屋を回る時間ができた。

浜松駅前まで戻って投宿し、近所の一刻者という焼酎みたいな名前の居酒屋に入る。店頭に「本店は舞坂港で上がった新鮮な魚介類を主に供しており、魚が苦手な方はご遠慮ください」と貼り紙がある。そのとおり刺身の旨い店で、併せて出される地元の酒も良かった。浜松逍遥、これにておしまい。

若林一里塚にて。

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