杉江松恋不善閑居 自粛生活38日目「本のダウンサイジングをやっていますか」

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これは何かというと、PTA会長仲間で4年前に中禅寺湖に行ったときの写真なのです。くまかかか。

5月15日

本に関するアンケート。前回のお題は、ダウンサイジングであった。全体の総量を減らすために、判型の小さい文庫や電子書籍に買い替える。あるいは自炊によって電子化する。そうした活動をしているでしょうか、という設問であった。回答数は194だった。ちょっと少なめである。「ダウンサイジング」という概念自体がなかった、というお答えもあったので、やや特殊な問いだったのだろうかと思う。

「すでに持っている本を、文庫などで買い直した」53.1%

「すでに持っている本を電子書籍で買い直した」34.5%

「蔵書を自炊で電子書籍化した」6.7%

「それ以外の手段でダウンサイジングしている」5.7%

千野帽子さん@『物語は人生を救うのか』ちくまプリマー新書さん「回答としては文庫本での買い直しを選択しましたが、電子書籍での買い直しもやりますし、かつては自炊もやりました。回答を見ると「それ以外」の人もあるようですが、どういう手段を使っているのだろう? ちなみに僕は「職場と自治体の図書館に本を預けている気」になる、というのを実行しています」。そうなの、私も「それ以外」の例が知りたかった。どういうやり方をすれば本の総量は減るんだろうか。布団みたいに圧縮袋があればいいのだけど。

前にも書いたのだけど、書評執筆という職業上の倫理のようなもので、刊行されて1年以内の本は正価で買うことにしている。それを過ぎたものについては縛りなし、というルールである。だから一時期は、新刊で買った本が新古書店にあると、わざわざ購入して本棚で入れ替えたりもしていた。最近は止めて、求めやすい本などは自分の本棚になくても気にしないことにしている。だから自分の回答としては「既読の本は手放す」が正しいのかもしれない。選択肢に入れると回答がややこしくなりそうなのでやめたのだが。

読んだ本を比較的早めに手放すようになったのは、ある作家さんと話した経験が元になっている。差しさわりがあるといけないので仮にAさんとする。こんな会話である。

「杉江さん、よくファンが作家に『先生のファンでご著書は全部持っています。全部新刊のときに買って、ずっと大事にしているんですよ』って言うでしょう。でも、そういうファンが作家にとっていちばんありがたいわけじゃないですよ」

「じゃ、どういうファンですか」

「読んだらすぐに捨ててくれる人がいちばんのファンじゃないですか。捨てて、読みたくなったらまた新刊で買ってくれれば、ずっとお金が回り続けますよね」

ああ、そうだよな、と思ったものである。その本を古本屋で買ったり図書館で借りたりすると回らなくなるわけだけど、とにかく一度は正価で買っておけば、あとはどのような読み方をしてもいいという免罪符になるかな、ということで今のスタイルに落ち着いた。だから出て1年以内の本などは、必要に迫られて複数回買い直している。

それはさておき、いわゆる自炊をするという回答が少なかったのも印象的であった。三橋暁さん「ただ、PDF化(電子書籍化というよりは、こちらが正確かと)には現状大きな壁もあって、一部の著作は自分のみと用途を限定しても、作業委託を出来ないのが現状。拒否を表明されている作者の方々も安心できる環境整備が望まれるところです」のおっしゃるとおり、自分でやるとなるとかなりの作業が発生するのが問題だと思う。定価の1割増しで単行本に電子書籍もついてくる、みたいなサービスがあればいいのに。

買い直しという行為については、作者・作品へのお布施という側面もある。質問の主旨からは外れるのだが、すぱこさん「コミックスや国内の手に入りやすい書籍などは、電子書籍でセールの時に、作者への感謝も込めて、買い直したりします」と同じことをされている方も多いのではないか。私は今、浜岡賢次『浦安鉄筋家族』を無印の1巻から電子書籍でちびちび買い直しているところだ。

また、電子書籍で買い直すときの問題として、解説が省かれていることを挙げられた方も複数あった。DE・LUCKYさん「電子書籍で買い直しです。文庫や漫画のシリーズものからするように努めていますが、解説がつかないのがつらい。別料金で買わせてほしいです」のおっしゃるように、旧い文庫の電子書籍化は解説が省かれているものがまだまだ多い。以前に出版社の方に伺ったところ、解説者の著作権や印税支払いが別になるので面倒なのだという話だったのだが、少額でもいいから一時金を払って収録させてもらってよ、とお願いしたのであった。解説を書いている同業者も同じ意見の人は多いと思われ、最近では原稿依頼の際などに電子書籍や自社サイトなどへの再録の許諾について、あらかじめ確認を求められるようになった。いいことである。が、解説の話はまた改めてどこかで。

自粛生活38日目。

ざわつくことがいろいろあって、仕事が手につかない一日だった。こんなこともあるので仕方ない。仕方ないと言いっぱなしでは商売に差し支えるのだが、気にし出すときりがないのである。

夜になって、PTA会長同期のみなさんからzoom飲み会に誘われ、ちょっと顔を出すつもりが最後までいてしまう。もう10年越しの付き合いであるが、この面子でネットで飲み会するようになるとはな、とちょっと可笑しかった。10年前は「子供に携帯電話を買い与えることについての是非」みたいな議題を話し合ったりしていたのに。それだけ時が流れたということでもある。お互い体を大事にして、またリアルで飲もう、と言い交して散会になる。

そういえばツイッターで、神保町の居酒屋酔の助が5月28日だかで閉店するという発表をしていて、多くの人が驚いていた。大好きな店、というわけではないのだが、神保町で飲むというと選択肢があまりなく、一時はよく行っていた店なので寂しくはある。あそこはホッピーを焼酎と別にせず割って出すので、それが残念であった。座敷では落語会も定期的に開催していたはずなのだが、それはどうなるのだろうか。

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