杉江松恋不善閑居 「沢村さくら曲師生活二十周年記念真山隼人独演会」と大井町・海老原書店

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某月某日

この日は実は誕生日であった。52歳になって初めてやったことは、しばらくご無沙汰をしていた大井町の古本屋訪問である。二軒あって、コロナ禍の間ずっと行けていなかったので、とても気になっていた。

JR大井町駅を出て、前の通りを東にまっすぐ行くと商店街の中に海老原書店がある。店頭に均一の漫画台を出した昔ながらの古本屋であるが、戦争史や演劇・映画関係が充実している。この日はマルチタレント放送作家のはしり、三國一郎の『CM漫談史』があったので購入した。あとで気が付いたが、これは三國の自伝なのであった。買ってよかった。海老原書店の裏にある松林堂書店はシャッターが閉まっていた。遅い時間だったので閉店してしまったか。また改めて来る。

そこから京浜東北線に乗り、秋葉原駅まで行ってつくばエクスプレス線に乗り換える。関西から真山隼人・沢村さくらのコンビが来京しており、「沢村さくら曲師生活二十周年記念」として真山隼人独演会があるのだ。独演会なのに曲師の周年記念の会、というのがコンビ芸の浪曲らしいところ。師匠である沢村豊子さんからお花も贈られていた。実は真山隼人さんも今年で十周年なのだが、コロナ禍で記念の会が飛んでしまった。地元大阪で中止のままになっているその会をなんとかしないと、東京では記念と銘打った会は開けないと舞台で零しておられた。

ふしのおにいさん 真山隼人・沢村さくら

雨月物語 浅茅が宿 真山隼人・沢村さくら

仲入り

浪曲であそぼう(トーク) 真山隼人・沢村さくら

桜田門外余話 首護送 真山隼人・沢村さくら

先日、新作「ビデオ屋の暖簾」が時代に合わなくなってきているから、という理由で封印を宣言していたが、「ふしのおにいさん」は長く残りそうな作品だ。浪曲作家としての名義は「内田八夢」。題名から察せられるとおりNHK「おかあさんといっしょ」に歌のおにいさん、体操のおにいさんに続く第三のおにいさんが参加することになるというもので、にこにこぷんのパロディのくだりで爆笑が起きる。節真似も入って一気に客席が温まった。続く「浅茅が宿」は、先日の独演会で聴いた「仏法僧」に続く『雨月物語』もの。戦乱の中で引き裂かれた夫婦の悲劇を描いた文芸浪曲で、三味線が暴れっぱなしで滅法よかった。

仲入りを挟んでのトークコーナーでは沢村さくらさんが作成中の曲師志望者向け三味線教習DVDの話題があり、見本としての試し弾きも。隼人さんはコロナ自粛中にエッセイ浪曲を試作したということで、短く一席唸った。最後はみんな大好き「首護送」。先日松浦四郎若版を聴いたが、真山隼人版も侍と船頭のやりとりが楽しく、最後は「嬶もくれてやろ」と調子に乗って船頭がねじり鉢巻きで櫓をこぎ出す。多幸感に包まれて大団円となった。

終演後はいつもの面子で反省会。

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