読書もの 一覧

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 北川樹『ホームドアから離れてください』

「杉江松恋の新鋭作家さんいらっしゃい!」番外編。デビュー作、あるいは既刊があっても1冊か2冊まで。そういう新鋭作家をこれからしばらく応援していきたい てきぱきと本題に入ってくれてありがたいと感じる小説もあれば、その逆もある。 北川樹『ホームドアから離れてください』(幻冬舎)は、その逆のほうで、寝坊をして大事な仕事をサボってしまった午前中のようない...

記事を読む

書評の・ようなもの 藤田宜永さんのこと

書評の・ようなもの 藤田宜永さんのこと

藤田宜永さんが亡くなったという報せを受けて、昨日から呆然としたままです。 藤田さんとは個人的にどうこうという間柄ではなく、お会いしたことも数回しかありません。 しかし日本ミステリー事典の項目を執筆したのが私だということもあり、勝手に親近感を持っていた作家でした。 さらにもう少し違った感情を持つようになったのは、ここ数年前のことです。...

記事を読む

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい!」 歌田年『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい!」 歌田年『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』

「杉江松恋の新鋭作家さんいらっしゃい!」番外編。デビュー作、あるいは既刊があっても1冊か2冊まで。そういう新鋭作家をこれからしばらく応援していきたい これだけサービス精神旺盛なデビュー作というのも珍しい。 歌田年『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』(宝島社)は、第18回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作である。この大賞、情報セキ...

記事を読む

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 木村椅子『ウミガメみたいに飛んでみな』

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 木村椅子『ウミガメみたいに飛んでみな』

「杉江松恋の新鋭作家さんいらっしゃい!」番外編。デビュー作、あるいは既刊があっても1冊か2冊まで。そういう新鋭作家をこれからしばらく応援していきたい 若者は頑ななものだ。 実はじいさんばあさん、おじさんおばさんよりも頑固である。生き方を変えれば、という提案には特に。自分の道からはみ出すことを拒む。 これは考えてみれば当然のことで、まだ歩いた...

記事を読む

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 佐野晶『GAP ゴーストアンドポリス』

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 佐野晶『GAP ゴーストアンドポリス』

「杉江松恋の新鋭作家さんいらっしゃい!」番外編。デビュー作、あるいは既刊があっても1冊か2冊まで。そういう新鋭作家をこれからしばらく応援していきたい 引き込みが強い作品だと感じた。 読者の気持ちが引っ掛かる鉤が序盤にいくつか準備されている。それに興味を持ってページを繰りだすと、気持ちを掴まえられてぐいぐいと連れていかれる。娯楽小説としては、たいへ...

記事を読む

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 夏樹玲奈『なないろ』

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 夏樹玲奈『なないろ』

「杉江松恋の新鋭作家さんいらっしゃい!」番外編。デビュー作、あるいは既刊があっても1冊か2冊まで。そういう新鋭作家をこれからしばらく応援していきたい ひとを好きになると世界が開けてしまう。 開く、ではなくて、開けてしまう、のである。それまでは個として完結していた世界が、対になる人を見つけたことで、自ずとそちらに向かって開けてしまう。 幸せ、...

記事を読む

杉江の読書 水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)

杉江の読書 水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)

良質のミステリー短篇集だ。水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)は、著者のこれまでの著作中でもかなり上位に来る作品である。印象的な題名は、全五篇が終わり近くに衝撃的な展開を準備しているとの宣言だろう。ページレイアウトもそれを意識した形であり、単行本になって「小説推理」掲載時よりも興趣は増したと私は感じた。 巻頭の「使い勝手のいい女」は『...

記事を読む

杉江の読書 田中兆子『私のことならほっといて』(新潮社)

杉江の読書 田中兆子『私のことならほっといて』(新潮社)

2018年に読んだ短篇の中でぐっときたものの一つに、田中兆子「私のことならほっといて」がある。「働く妻にとても理解がある」が「僕は君より五倍稼いでるんだよ。だから家事は君の担当」と平然と言うような夫に内心嫌気が指している女性が夢の中で出会った男との情事に溺れ、ついにはそのために極端な行動に出てしまう、という話だった。根底に女性の生きづらさという重い主...

記事を読む

書評の・ようなもの サタミシュウ『彼女が望むものを与えよ』

書評の・ようなもの サタミシュウ『彼女が望むものを与えよ』

奥付では本日、2018年12月25日刊になっているサタミシュウ『彼女が望むものを与えよ』(角川文庫)の217ページを見て驚いた。 本書は、松久淳『彼女が望むものを与えよ』(光文社/二〇〇七年三月刊)を著者名を変更のうえ、文庫化したものです。 サタミシュウ=松久淳ということは、これまで一部にしか知られていなかった事実だと思う。もしかすると、今回の文...

記事を読む

杉江の読書 松尾スズキ『108』(講談社)

杉江の読書 松尾スズキ『108』(講談社)

シミルボンで、その月の小説誌に載った短篇の中からベストを選ぶ「日本一短篇を読む男」という連載をやっているのだが、その八月分に書いた原稿を一部転載する。「小説現代」八月号に一挙掲載された松尾スズキ『108』をお薦めしておきたいからだ。 劇作家でタレントまがいのことをしている海馬五郎が主人公のシリーズ作である。相変わらずあれやこれやの半端仕事をしな...

記事を読む

スポンサーリンク
1 2 3 4 8