書評 一覧

書評の・ようなもの 「さしたる不満もなく私は家に帰った」岸本佐知子『なんらかの事情』

日曜日なのだがお昼は外で食べましょうということになった。 別にお出かけとかそういうのではない。美容院とお買物の用事で妻が不在になり、残された子供と二人で飯を作るのもめんどくさいので外に行こうか、という相談がまとまったのである。 うちの子は食べることについては非常に張り合いがなく、何を食べるかと聞くと必ず、 「ラーメン!」 と言...

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書評の・ようなもの 「さしたる不満もなく私は家に帰った」武田百合子『ことばの食卓』

書評の・ようなもの 「さしたる不満もなく私は家に帰った」武田百合子『ことばの食卓』

お行儀の悪い話でたいへん恐縮だが、私は本を読みながら食事をするのが好きだ。 というよりも、本を読みながらでないと食事をしたくない、と言ったほうがいい。 たいていの人は昼時になると、何を食べようかと店選び、メニュー選びを始める。 おしゃれで、服を選んで買うのがいちばんお趣味という人でも、お腹が空いたときに洋服屋には行かないだろう。時計が好きな人も...

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書評の・ようなもの 藤田宜永さんのこと

書評の・ようなもの 藤田宜永さんのこと

藤田宜永さんが亡くなったという報せを受けて、昨日から呆然としたままです。 藤田さんとは個人的にどうこうという間柄ではなく、お会いしたことも数回しかありません。 しかし日本ミステリー事典の項目を執筆したのが私だということもあり、勝手に親近感を持っていた作家でした。 さらにもう少し違った感情を持つようになったのは、ここ数年前のことです。...

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杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 佐野晶『GAP ゴーストアンドポリス』

杉江松恋の「新鋭作家さん、いらっしゃい」 佐野晶『GAP ゴーストアンドポリス』

「杉江松恋の新鋭作家さんいらっしゃい!」番外編。デビュー作、あるいは既刊があっても1冊か2冊まで。そういう新鋭作家をこれからしばらく応援していきたい 引き込みが強い作品だと感じた。 読者の気持ちが引っ掛かる鉤が序盤にいくつか準備されている。それに興味を持ってページを繰りだすと、気持ちを掴まえられてぐいぐいと連れていかれる。娯楽小説としては、たいへ...

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杉江の読書 水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)

杉江の読書 水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)

良質のミステリー短篇集だ。水生大海『最後のページをめくるまで』(双葉社)は、著者のこれまでの著作中でもかなり上位に来る作品である。印象的な題名は、全五篇が終わり近くに衝撃的な展開を準備しているとの宣言だろう。ページレイアウトもそれを意識した形であり、単行本になって「小説推理」掲載時よりも興趣は増したと私は感じた。 巻頭の「使い勝手のいい女」は『...

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小説の問題vol.61 「ふたりの作家のグルーヴ感」 横山秀夫『第三の時効』 ・北方謙三『林蔵の貌』

小説の問題vol.61 「ふたりの作家のグルーヴ感」 横山秀夫『第三の時効』 ・北方謙三『林蔵の貌』

私のようにのらくら生きている人間でも、日々の暮らしの中で疑問を感じることはある。以下は最近気になったこと。 一つは、先日刊行されたハワード・ヘイクラフト編の『ミステリの美学』(成甲書房)について。この本はミステリー評論としては古典の域に入る一冊で、読めば大いに知的な刺激を受けることができる。大昔に抄訳本が出たことがある本で、残念ながら今...

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小説の問題vol.60「二つのロマン 重箱の隅つつき風案内」多島斗志之『汚名』 ・高野秀行『幻獣ムベンベを追え』

小説の問題vol.60「二つのロマン 重箱の隅つつき風案内」多島斗志之『汚名』 ・高野秀行『幻獣ムベンベを追え』

トリヴィビアルな知識を披露するのがはやっているらしい。たとえば「カーネル・サンダース人形の眼鏡には、度が入っている」などと。酒場の暇つぶしにいい、害のない知識である。深夜番組「トリビアの泉」あたりがその元か。この手の知識は好きなので、私もいくつか披露を。まず一つめ。 「太平洋戦争中に処刑された最高の外国人スパイと、太平洋戦争の最高戦犯と...

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【再掲】6/16(日) 鬼子母神通り みちくさ市古本フリマ参加と「ミステリちゃん」公開収録のおしらせ

【再掲】6/16(日) 鬼子母神通り みちくさ市古本フリマ参加と「ミステリちゃん」公開収録のおしらせ

いくらなんでも本がダブりすぎた。 というわけで、書棚を圧迫するダブり本処分のために、二年ぶりくらいに「松恋屋」で一箱古本市に参加します。 わめぞさんの主催する第47回鬼子母神通りみちくさ市の古本フリマです。昨日参加申し込みをして、正式に受諾されました。 ◎日時 2019年6月16日(日)11:00頃から16:00まで ...

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小説の問題vol.59 「時代の逆風に耐えた作家と時代の波が産んだ作家と」 浅暮三文『殺しも鯖もMで始まる』・皆川博子『花闇』

小説の問題vol.59 「時代の逆風に耐えた作家と時代の波が産んだ作家と」 浅暮三文『殺しも鯖もMで始まる』・皆川博子『花闇』

『立川談志遺言大全集』(講談社)の購読を始めてしまった。読み出すと止まらないからやめようと思っていたのに。第十三巻『芸人論/鬼籍の名人』は文春文庫『談志楽屋噺』の再録だが、手に取ればつい読みふけってしまう。「落語」が大衆芸能として絶大なる力を持っていたころの空気が魅力的に伝わってくるからだ。 談志の著書とはまた別の理由で、小林信彦『コラムの逆襲...

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芸人本書く派列伝returns vo.24 山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』『ヒキコモリ漂流記』

芸人本書く派列伝returns vo.24 山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』『ヒキコモリ漂流記』

ちょうど五十になりました。 この一文をあるメロディに乗せて読んでしまうのは、たぶん私と同い年か、それより上の演芸ファンではないかと思う。さらに言えば、落語協会よりも落語芸術協会が贔屓だった人。 ベテラン、東京ボーイズの持ちネタの一節である。 東京ボーイズは旭五郎、菅六郎、仲八郎のトリオ芸人で、五郎がアコーディオン、六郎が三味線、八郎...

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