電撃座通信 おさん&たこ平「ゴールデンバッテリー」20170628

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柳家花緑門下の一番弟子・台所おさんさんで最初に聴いたネタは「蒟蒻問答」だったと思う。そのころは二ツ目だったので「台所鬼〆」だった。東京かわら版でぱっと名前を見ても、この人がどこの門下なのか、そもそも落語家なのかどうかもわからない名前である。かわら版に載っているのだから落語家か講談師か浪曲師のはずなのだが、手がかりがない。ネットで検索して花緑一門であることを知り、出かけていって聴いたのが「蒟蒻問答」であった。

おさんさんはぎょろ目である。ぎょろ目でいつもにこやか。どことなく故・高松英郎に似ている。そのおさんさんと対照的に林家たこ平さんは目が小さい。たこ平さんは正蔵門下の二番弟子で、早ければ来春にも真打昇進が決まる位置にいる。そのお二人が組まれた会が「ゴールデンバッテリー」だ。聞けば鬼〆・たこ平で過去にも二人会をやったことがあるが、それからはあまり組んでやっていなかったという。電撃座ではこれが二回目の二人会である。

二人で出て来てのトークから始まった。「今、協会(落語協会)から至急代演の打診が来たんだけど断っちゃったんですよ。ここに上がってるから。うわーっ、末廣の代演おいしすぎる」

「私はほとんど代演ないですね」

「だって兄さん(おさんさん)、携帯電話持ってないんだもん! つかまらないでしょ」

「そうね。たまたま家にいるときにかかってくれば」

「その電話だけが生命線でしょう。もしも電話が止められたら外界とつながるライフラインがなくなるじゃない」

「いや、今度あの、iPadっていうの。あれを契約しようかと思って。あれだと電話をしなくてもネットだけつながったりするわけじゃない」

「なんでそこまで電話を憎悪するんですか。じゃ、兄さんiPadでこんなことするんだ(ひとさしゆびで画面を送る仕草)。やってごらんよ、ほら」

二人で画面をスライドしているさまは、まるで気の弱い忍者が手裏剣を投げているようだった。

そのあと、普通は40になったら煙草は止めるのにおさんさんは40になって吸い始めた、というようなおさんいじりがひとしきりあって本編に。

おさん「携帯持ってなくても私遅刻とかしないから」
たこ平「いや、兄さん。あのとき遅れてきたでしょ」

本日の演目は以下の通り。

へっつい幽霊 たこ平

蒟蒻問答 おさん

仲入り

馬の田楽 おさん

饅頭こわい たこ平

「蒟蒻問答」は前述した通り私の大好きなおさんさんのネタなので個人的に嬉しかった。雲水の毅然とした様子、にわか和尚となった遊び人の調子いい感じがいい対照になっているのだ。「馬の田楽」は田園風景のスケッチのような話で、のんびりとしてこれもおさんさんによく合っている。トリで上がったたこ平さんが的確に一言。「兄さんは田舎者を演じると本当におもしろいよね」。

そのたこ平さんは開口一番で「へっつい幽霊」を演じた。銀ちゃんが出てこない、ばくち打ちと幽霊だけが対決するバージョンである。たこ平さんは切れる人を演じるとむちゃくちゃおもしろいのだが、ここではばくち打ち、幽霊とも静かに切れるのがいい。最後の「饅頭こわい」は、なんと上方噺バージョンであった。東京だと集まってのたわいない雑談から、饅頭嫌いを「アン殺」してやろうという悪戯につながるのだが、上方版では途中に身投げ女のエピソードが挟まる。知らないと「饅頭こわいによく似ているけどまったく違う怪談みたいな噺が始まった」とびっくりするのである。これも後半のテンションの上がり方が半端ではなかった。

実はたこ平さん、前回上がられたときも一席は「唖の釣り」、もう一席は上方版「愛宕山」と演じ分けて観客をびっくりさせたのであった。サービス精神満点である。寄席でたこ平さんの上方噺を聴く機会はあまりないと思うので、電撃座のような小会場ならではの特典だ。

この二人会、次回開催がまだ未定なのだが、私としてはぜひ続けていただきたいと思っている。みなさまからの「観たい」「聴きたい」の声があれば継続できると思うので、ぜひお力を借りたく存じます。

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