街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール番外・赤旗連載「通勤型街道歩き」3

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幸手市役所で泉こなたの住民票を発行してもらいつつ。人生の絶頂期。

通勤街道歩きを始めた人がもし関東圏に住んでいたら、東海道の次に目指すべきは日光街道だ。東京・日本橋から日光東照宮まで約144kmの道のりである。南は東武鉄道、北はJR東北本線が街道の近くを走っており、通うのに不便がない。だが、この便利が落とし穴にもなるのだ。

以前、この街道の草加・越谷間をえのきどいちろう氏と歩いたことがある。草加松原といって、旧街道の松並木が綾瀬川沿いに残っていた名勝のある付近だ。

「いいところだねえ」

えのきど氏は言った。

「だけど僕は今、大変ないいとこどりをしている気がするんだ。もしかすると街道の先には、こんな景色はあまりないんじゃない」

その勘は正しい。日光街道は国道4号とかなり重なっている。地図を参照すれば一目瞭然、これは非常に平坦で、かつ直線的な道なのである。したがって景色の変化は乏しい。

東海道には箱根山や小夜の中山のように、越すのは辛いが、代わりに絶景が味わえる箇所がいくつかあった。日光街道には、それがないのである。だからこそ「通勤」向きだとも言える。ときどき辛い目に遭うが眺めがいい街道と、だいたい楽だが変わり映えはしない街道。どちらがいいかは、人の好き好きである。

もちろん日光街道にも名勝は存在する。歩いて歩いて宇都宮までたどり着けば、次の徳次郎から終点の日光までは、かの有名な杉並木が堪能できる。それまでの溜めが効いている分、いきなりその景色を見るよりもずっと感動するはずだ。

日光街道を歩く人には、ちょっとずつの寄り道をお薦めしたい。たとえば幸手宿。ここはアニメ化された漫画『らき☆すた』の主人公、泉こなたの家があることで有名だ。そのためか街のあちこちに『らき☆すた』のキャラクターが顔を出しており、一時は市役所で泉家の住民票まで記念販売していたのである。私? もちろん市役所まで行って購入しましたとも。

宿場の痕跡こそ少ないものの、それ以外の名所はけっこうある。私は歴史上の有名人が神格化されて祀られた神社を訪ねるのが好きなのだが、今市宿にはここで終焉を迎えた二宮尊徳翁を祀った報徳二宮神社がある。

さらに、石橋宿には孝謙天皇神社があるのだ。下野国はかの道鏡が流された地だが、彼を寵愛した天皇が後を追ってやって来て亡くなったという伝説があるようなのだ。そんなわけないだろう、と言いながらもちゃんと寄り道してお参りしたのである。天皇にしては小さな祠だった。

(初出:「しんぶん赤旗」2018年5月23日」

報徳二宮神社にある謎のトーテム。二宮尊徳を抱え上げている男は何者だ。

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