街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 「大仏廻国」と中目黒「COWBOOKS」浅草「地球堂」雑司ヶ谷「古書往来座」

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某月某日

八月中はあまりの暑さと東京都民はあまり外出するな、という知事の命令に従ってなるべく遠出をしないようにしていたのだが、九月に入ったのでそろそろ元の生活習慣を復活させてもいいのではないかと思いつつある。といってもしばらくは都内から出ないけど。

目黒川を歩いていたらひさしぶりに開いているCOW BOOKSを見る。店頭の文庫棚がかなり入れ替えられていて、田中小実昌の文庫がいっぱいある。ここの文庫棚は百円均一とかではなく、けっこう値が張るものも置いてあるのだ。エッセイ集『猫は夜中に散歩する』を。たしか家にあるのだが、ダブっていたら誰かにあげよう。カーター・ブラウンについての文章が載っているということで、しばらく探し回っていた本だ。

店内を見るとレイアウト変更はあったけどそれほど変わりはない様子。ただ、一部の本が値下げされているように感じた。もしかすると消費税十パーセントに合わせて税抜き価格を少し下げたのか。

某月某日

この日は浅草木馬亭の浪曲公演が七日目で最後だった。いつもは開演間近に着くようにするのだが、所用があったので開場前の木馬亭へ。用事を済ませたら少し時間が空いたので、ホッピー通りを抜けて地球堂書店へ。以前は午後五時まで営業していたのに、最近はコロナ禍の影響なのか午後四時くらいには閉めてしまうので、なかなか中に入れない。ひさしぶりに店内を拝む。ここはけっこうしっかりした値付けなので迂闊に買えない古本屋なのだが、村上元三『次郎長三国志』の春陽文庫が手ごろな価格だったのでいただくことにする。木馬亭で合間にぱらぱら読んで、最後が神田伯山の章だったことに気づいた。そうだ。これも伯山資料の一つだったのだ。

某月某日

十日まで上映中の「大仏廻国 The Great Buddha Arrival」を観るため、池袋HUMAXへ。「大仏開眼」は一九三四年に枝正義朗監督が制作した、着ぐるみとミニチュアを使用した特撮の元祖のような映画である。現在の愛知県東海市にある聚楽園大仏が立ち上がって中京圏を歩き回るというような内容だったらしい。らしい、というのはフィルムが現存しないと思われるからだ。「大仏廻国 The Great Buddha Arrival」はそのオマージュとなる自主制作映画で、クラウドファンディングで資金を募り、二〇一八年に初めて上映、今回は新規編集版ということになるらしい。映画「ゴジラ」第一作に出演した宝田明のインタビュー場面から始まり、映像制作者が歩く大仏の都市伝説を追っていくというフェイク・ドキュメンタリー方式で話は進んでいく。十日まで上映しているのでぜひご覧いただきたいが、自主制作映画観が楽しい作品であった。終演後は横山寛人監督と枝正監督を演じた菊沢将憲のトークを聴く。ここで初めて一九三四年の「大仏廻国」が自主制作映画であったことを知った。しかも戦前では珍しいパートカラーである。どれだけ特異点の作品なんだ。フィルムが世界のどこかに残っていることを祈る。それが終わったあと、観客が協力して横山監督の次回作である「ネズラ1964」のある場面撮影をその場で行う。「大群獣ネズラ」は大映幻の特撮映画で、ミニチュアセットと本物の鼠の組み合わせで撮影を行おうとしたが、現場にダニやノミが大繁殖するなどのトラブルがあり、中断に追い込まれた。その悲劇の撮影現場を再現しようという試みらしい。本年十二月十九日に完成披露上映があるということで、これも行かなければ。

映画の前に立ち寄ったのが雑司ヶ谷と池袋の間にある古書往来座。こちらもつつがなく営業中であった。いつもの棚を巡回後、なぜか藤原審爾『赤い殺意』(集英社文庫)を買ってしまう。何冊も持っているのに。まあまあ、いいじゃないか。帳場にいたスタッフの方が私に気づき、「みちくさ市が開催できたらまたよろしくお願いします」と言ってくださる。年内は無理とのことだが、再開後は是非。映画の後でブックオフにも一応寄ったのだが、特に手に取れるような本はなし。

次回作「ネズラ1964」について説明中の横山監督。

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